もたもたしていたら、9月になっていた。川へ行けるのも、あとわずかではないか。
そう思ったら、ちょっぴり焦りと寂しさを感じた。若い時分には、なかった気持ちだ。
以前は体力にまかせて、がむしゃらに谷川を上り魚を釣りまくった。釣りがどうのこうのといった感傷に、とらわれることはなかった。それから長い年月が経(た)った。
川へ行く日数は、めっきり減った。深い谷へ、もぐりこむこともなくなった。
里の穏やかな流れで、のんびりと竿を振ることが多くなった。それもこれも、年を取ったというわけなのだ。そのせいか、春から秋までの釣りシーズンが、とても短く感じられてしまう。気がついたら、あっけない幕切れということになる。
だから9月の声を聞くと、こうしちゃいられないと慌てふためくのだ。
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