足首を洗う流れが、ひやりとして気持ちがいい。今年の夏は胴長靴を履かないで、ズボンに直接フェルト底の短靴だけにしていた。
ダブダブと胴長靴を履いて、川を歩くのは汗をかくし、とても疲れるのだ。
しばらく毛バリを放りこんでいったが、魚の出る気配はなかった。この暑さ、イワナだってどこか避暑に出かけたい気分だろう。ふと前方に目がいった。樹木の枝が張り出した下が、薄暗くいかにもイワナが潜んでいそうだ。
何投目かに、うまく毛バリが枝の下にもぐりこんだ。ふわっとイワナが浮いてきた。
ゆっくり、じれったくなるほどのんびり、カポッとイワナは毛バリを呑みこんだ。
水しぶきが上がった。頭を振りながら良型のイワナが手元に寄ってきた。
青味がかった、すらりとした美しいイワナだ。それから、一つ、二つとイワナが出た。
もうこれで十分だと思いながらも、足は上流へ向かっていた。
気がつくと僕は、わんわんと鳴く蝉しぐれに包まれていた。
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